第5回
■魚屋の使命
第4回
■鮨
第3回
■なまこ・このわた・くちこ
第2回
■我が家の鍋
第1回
■ 添加物?
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[***魚屋の使命***]
最近読んだ「武蔵スペシャリスト」(皆木和義著)の中にたいへん感動した一遍があったのでご紹介したいと思います。武蔵と名人老漁師との会話です。・・・一部抜粋・・・
漁師:「旦那、魚屋の使命はわかりますか」
武蔵:「・・・」
漁師:「魚屋の使命は、何でしょうかと聞くと、一瞬、皆さん、旦那同様に、きょとんとされます。そして大方の人は、新鮮なものをできれば安く提供することかなという答えしかしません」
武蔵:「ほう。では何だ」
漁師:「へぇ、新鮮なものを提供することは勿論ですが、本当の使命は何かといったならば、お食べになるお客さんの体のためにいいもので、とても美味しいものを提供することが、魚屋の使命です」
武蔵:「なるほど」
漁師:「人間は、食べたものが本当に美味しいと、とても豊かで和やかな気分になって嬉しくなるのです。この嬉しさを持続することが心豊かな生活というものではないでしょうか。私は新鮮で美味しい魚を提供するために、命がけで研究しております」
・・・中略・・・
「お客さんが家でお召し上がりになり、美味しさでにっこりされる。また明日もがんばろうというような、明日への活力を再生産してあげるような魚屋でありたい。それが使命なんです」
わたくし達もがんばります。この老漁師にあやかり、そして負けないよう精進していきたいと思いました。
[***鮨***]
「寿司屋に魚卸して寿司を語らず」なんたる事ぞ!と言うわけで・・・
とは言っても固苦しい『鮨うんちく』なんて語るつもりはなく、たいした知識も在りませんので最近感じてる事を私なりに・・・
私が子供の頃(今でも?・・・(・_・;)、「寿司」を食べたのは年に数回、お客様が来たとき、法事などの席、正月、などでしょうか?ましてや「寿司屋さん」で食べるなんてことはなく、出前を取って食べた記憶しかありません。今や空前の寿司ブームで、回転寿司、宅配寿司、持帰り寿司、またスーパーなどでもお惣菜コーナーに並び、手軽に、安く、いつでも、好きなときに「鮨?」を食べる事ができるようになりました。喜ばしい事です。現代の若者達が子供達が「生の魚」を食べる機会が増えた事は、この寿司ブームが大きく貢献していると素直に認めざる得ないでしょう。ところで「鮨」
鮨とは何なのか?最近ふと考えさせられるのです。酢メシの上に魚の切り身が乗っかっていれば「鮨」なのか?
・機械が(寿司ロボット)握ったシャリの上にネタを乗せたもの
・お惣菜コーナーの裏方でビニール手袋をして一つ一つ作られるもの
・回転しすぎて乾いた為霧吹きで水分を吹き付けたもの
・お寿司の形になってすでに冷凍されているもの
・出来合いの加工品を軍艦の上に乗せたもの
・学生アルバイトが「にぎる?」宅配寿司(宅配全てでははありません)
私の友人の子供も高校生なんですが、休みの日など朝6時から宅配寿司でバイトに精を出しているそうです。そこでの仕事は「寿司をにぎる」とのこと、年齢の事を言ってるんじゃないんです、バイト始めて数日しかたっていない子に、注文の「鮨=商品」を作らせる、システム化・マニュアル化とは言ってもこれでいいのか?本当にそれって「鮨」ですかね?考えさせられてしまいます。
「鮨をにぎる」これ自体はそんなに難しい事ではないんです。ひと月もにぎっていればいっぱしの鮨職人になれます(見えます)。取り組み方、教わり方にもよりますが大概ダイジョウブでしょう。しかし本当に必要な技術は「にぎる」ことではなく、そこまでのプロセスではないでしょうか。魚の目利き・扱い方など季節によって、同じ魚でも変えなくてはならない事もあります。ネタの種類やお客さまにより大きさやにぎり加減を変えたりするのも熟練の技のなせる事ではないでしょうか。もちろん接客などもそうですね。
経験が自信になり、新たな向上心を生み、育まれ、形作られたもの、これこそ「本当の鮨」ではないでしょうか。
最後に小生は小ぶりの鮨が好きです。口の中一杯にホウバルようなジャンボ鮨は苦手です。いいネタ、熟練の技術、いい雰囲気、こんな空間でいただく『鮨』を楽しみ、是非お奨めしたいなと思います。
[***珍味・なまこ《このわた・くちこ》***]
年が明け、1月から4月・5月頃までは『なまこ』の最盛期になります
よく思うんですが、これを最初に食べた方ってほんとうに勇気があるな?って・・・
人間の、食べ物にかける旺盛な好奇心には、ほんと頭の下がるばかりです。あの得体のしれない形状を見ただけで『あっ、だめ!』と思ってしまう人も結構多いんではないでしょうか。瓶詰めや居酒屋さんなどで食べたことのある人など、原型を知らないかたも多いかもしれませんね、でもこれ《うまいんです》よ。ほんとに
身も旨いし、内臓(このわた)も旨い、そしてこの時期産卵のために
身ごもる?卵巣を干した『くちこ』、これがたまらんですな。
なまこの卵巣だけを丁寧に取り出し、張った糸にさげるように幾重にも重ねながら干しあげます。このとき、三味線のバチのように三角形をかたち作りながら干す場合が多いので、通称『バチコ』などと粋な呼び方もされます。
そのままでも頂けますが、サッと炙ると何ともいえない磯の香りがただよい、食をそそられます。チョッと千切りながら酒のあてに・お吸い物の香りづけに・炙ったものを熱燗に入れ、ヒレ酒ならぬクチコ酒なんてのも乙なものです。また、地元漁師町などでは炊き込みご飯などにもするそうです。(僕はまだ食べた経験がありません、どうもノンベにはつまみのほうが・・・)
また、内臓を塩漬けにしたものが『このわた』。《なまこのわた》で『このわた』なんですかね?先程の『くちこ』も《なまこの子》で『このこ』とも呼ばれます。
さて、この『このわた』好き嫌いがはっきり分かれる珍味の一つではないかと思いますが、塩がバッチリ効いたものより、甘塩でなまこの香りが残るもののほうが小生などは好みでございます。少し塩分がものたりないなという時はほんの少し醤油を掛けてみてください。香りがよくなり食べやすくなること請け合いです。
最初から塩漬けではなく、しょうゆ漬けするとこれがまた絶品。
塩漬けほど保存が効きませんが、一度お試しいただきたい味です。
身のほうは一般的に酢の物として食されるのが多いですね。
赤なまこ・青なまこ・黒なまこ・などいろいろな種類がおります。一般的に高価なのが赤なまことされています。身が厚くやわらかいことから人気があるようです。歯ごたえを楽しみたい!というかたには、赤よりも青なまこのほうがよろしいのではないでしょうか。
また中華料理では干しなまこが珍重されています。
[***我が家の鍋***]
冬の夕食の定番と言えば、やはり鍋料理がよろしいですね
何よりも体があったまる。いろいろな食材を一度に食べられる。
我が家でも週1〜2回のペースで『鍋にしようか?』と、なっていしまいます。
女房殿も大喜び。準備は簡単だし、何よりもあと片付けが楽なようで・・・・。
今日はどんな鍋にしようか?水炊きでポン酢、又はごまダレもいいが、味噌味も捨てがたい。また、チゲ鍋仕立てもなかなか乙なもの。魚介類中心でいくか、鶏つくねなどもいいし、豚シャブ・牛シャブ・・・・。あれこれ考えるのも楽しいひと時ではないでしょうか。
最近は『鍋のたれの素』など、たくさんの種類が売っており、それぞれが結構おいしく出きていて、たいへん便利な時代になったものです。でもこれ、いろんなもの(添加物)入っているんですよね。しかも意外と高い。一瓶四〜五人前の分量で買ってきてもぜんぜん足りません。・・・そこで
とってもおいしくて健康的、尚且つ簡単安上がりな『我が家の寄せ鍋のだし汁』、うちの子供達にも大人気。一度お試しいただきたく下にレシピを掲載させていただきます。
『我が家の寄せ鍋のつゆ』レシピ
水
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塩
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しょうゆ
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みりん
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出し昆布
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かつを節
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2400cc
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大さじ2杯
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大さじ2杯
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大さじ2杯
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適宣
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50g
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土鍋(9号)に水2400cc・出し昆布(10cm位)を入れ火にかけます。
沸騰直前にかつを節(この分量だけはケチらないで)を入れ火を止めます。
10分程して、かつを節がしづんだら、網杓子(揚げ物のときに使う網目の杓子)で、かつを節と昆布をすくい取ってください。(家庭でやる時にわざわざ漉したりしなくてもいいんですぞ。取り出したかつを節は捨ててはいけません)
塩・しょうゆ・みりん(みりん風調味料はいけません。本みりんをお使いください)を加えたら出来上がり。お好みの材料を入れお召し上がりください。ネ、簡単でしょ。
先程すくい取った『かつを節』、水から煮出して『2番だし』(沸騰すればほぼOK)。煮物の出しに・お味噌汁の出しにとっても重宝です。
1回で2度も3度も楽しめる『かつをだし』是非お奨めします。
ちなみに、削り節と書いてるものは『かつを節』でない場合がありますので必ず『かつを節100%』のものを使いましょう。
(500g入り)1,500円(当店価格)で10回出来ます。
[***添加物***]
今、巷でも話題に取り上げられることが多くなった食品添加物。
ほんと、使っていないものを見つけるほうが難しい状況です。
以前から気なっていたんですが、本来自然の食品がもっているさまざまな栄養素(大地の恵み・海の恵み)を取らずに、出来合の食べ物(加工品など)ばかりを好む若者達。充分な親の愛情を受けずに育つ子供達『親から子への愛情表現の基本は食卓ではないかと思うのは私だけでしょうか?』(もちろんそれだけではありません)
アトピー・アレルギー疾患、はたまた『すぐに切れる子供達』。昨今の少年犯罪を聞くにつけ、現代の食生活が関与しているんではないかと思わずにいられません。子供達の健康は『お父さん・お母さん!』あなたがにぎっているのです。高級なものでなくてもいいんです。自然な良いものをできるだけ多く食べさせてあげてください。
最近、無添加を謳った食材も多く出てきています。でもこれ結構高いんです。休みの日などスーパーの買出しに私がついて行くと、かえって高い買い物になってしまうこともしばしばです。また、自然で良い物と思い一生懸命作っても必ずしもおいしくできるとは限りません。実際うちの子供たちにしても出来合で売っているものの方がおいしいなんてこともしょっちゅう。ほんと良く出来ているんです。僕もおいしいと思います。でも食べ過ぎると胃が痛くなるんです。きっと体が危険信号を送ってくれているんでしょう
都会で暮らしていると『毎日自然食で』なんてなかなか出来ませんが、週末家族でだんらんの時くらいチョッと贅沢でもいいんじゃないでしょうか。外食チェーン店の工場で大量生産された、しかもマニュアルどうりに作られる食事よりはるかにいいと思います。
知らなければ何も考えずに食してしまっているものを、知っていることでチョッと気を使うことが出来るメニュー。『昨日と違う食材を選ぶ』なんていうのもひとつの方法かもしれません。
自然食の食事、少し高くつくかもしれませんが、その代わり、医療費が安くなるなんて考えるのはいかがでしょう・・・。
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